続イギリスで始めたこと

2001年からイギリスに住んでいます。 人生何があるかわかりません。思いもしなかった異国暮らし。 日々の生活の中で思うこと、発見したこと、出来事などを書いています。

イギリス > 勝訴

勝訴

今日は夫の傷病手当に関する略式裁判の日だった。
話は遡って去年の11月になる。
夫は傷病手当を受けるにあたって一年に一度
メディカルインタビューを受けなければいけなかった。
一昨年に初めて受けたインタビューは看護婦によるものだった。
問診と簡単な触診。
その時はまだ働ける状態ではないと認められた。
去年の11月にまたメディカルインタビューを受けなければならなかった。
9月にようやく検査手術を受けた夫の状態は
一昨年のインタビューの時よりも悪かった。
近所のコンビニにも歩いて買い物に行けず
靴下や靴を履くのも私が手伝っていた。
その時の結果が1月年明けに届いた。
結果は目を疑うものだった。
夫は肉体労働をするにもまったく支障がないので
傷病手当を打ち切るというものだった。

すぐにかかりつけの医者に相談すると控訴したほうがいいと
アドバイスとシチズン・アドバイス・ビューローの
連絡先を教えてくれた。
実は一昨年イギリスの政権が変わってから
新しい政府は福祉、医療費、教育費の予算をどんどん削りだした。
そのおかげで傷病手当を打ち切られる患者が増えている。
シチズン・アドバイス・ビューローはそういう弱者のために
控訴の手続きを無料でやってくれるので
その助けを受けすぐに控訴した。

控訴の準備に去年のメディカルインタビューの
結果を取り寄せたところ嘘ばかりが記入されていた。
趣味は釣りだが家にいると欝っぽくなるので
医師が気分転換に釣りに行ったらどうだと助言された。
それで友達が身体障害者も釣りができる釣り掘りに連れて行ってくれたが
2,30分で膝が痛くなり友達にすぐに家に送り届けてもらった。
それが1回だけだといったのに対して
その答えは暇があれば週に何度も釣りに行っているだった。
もうひとつは膝の曲がり具合。
触診のときインタビューの看護婦は曲げられるところまで
膝を曲げて見せるように言った。
一度も角度を測らなかったのに問題なく膝が曲げられて
130度という数字まで入っていた。
しかしリハビリに通っていたときリハビリ士が
毎回特別の定規を使って夫の膝の曲がり度を測っていたが
曲がっても110度くらいが最高で130度にいった事は
一度もなかった。
とにかく夫が答えた質問の答えは全て
彼らの都合のいいように書かれていた。
この結果には夫の手術の担当医も腹をたて
この控訴に主治医としての見解を書いてくれた。

その略式裁判が今日だったのだ。
夫は一昨日くらいから裁判のことでナーバスになっていた。
昨日は寝れなかったようだ。(私はぐっすり寝ていた)
今週初めに夫は裁判所に車で行って駐車できるかとたずねたが
障害者バッチがないとだめだと言われた。
離れたところにある駐車場から歩くのは
夫にとっては無理なのでタクシーで行こうと話していた。
すると今朝裁判所から電話が来た。
内容は2時に予定されていた裁判を1時からに
早めることは可能かというものだった。
夫が承諾すると数日前に駐車のことで電話をしたかと聞かれたので
そうだと言うと障害者バッチがなくても駐車できるように
守衛に連絡しておくと言われ車のナンバーを教えた。

全ての書類を揃えて裁判所に向かった。
雨の中言われたとおりに裏口の駐車場に向かった。
そこにインタフォンがあって言われたとおりに夫の名前と
車のナンバーを伝えた。
インタフォン越しに守衛は障害者バッチはあるかと尋ねた。
私がないが今朝車を停められるように守衛に連絡しておくと言われたと言うと
何も連絡を受けていないので門を開けることはできない。
路上に止めて歩いて裁判所に入るように言われた。
私の様子を見てた夫が車から出てきて
インタフォンで守衛に説明したが同じことを繰り返すだけで
結局遠回りをして歩きながら裁判所に行くしかなかった。

夫は何度も立ち止まりかなり時間がかかった。
裁判の15分前までには着いていなければならなかったが
やっとのことで着いたときは5分前だった。
出迎えた女性は今朝電話をしてきた女性だった。
彼女に遅れた事情を説明すると
彼女はちゃんと守衛には連絡を入れておいたが
実は夫が初めてではなく何度もこういうことが起こっているそうで
侘びを入れられた。

やはり13日の金曜日かと思えるような出だしだった。
裁判室4に入るように言われた。
部屋には一段高いところに裁判員と医師がいた。
そして私たちを案内した女性がその前に座り
私たちは彼らに面して座る形になった。

最初に医師からメディカルインタビューに関する質問があり
夫が質問に答え嘘の結果を正す形になった。
その後裁判員もいくつか質問をし、最後に
夫が言いたいことをたずねられた。
夫は今まで誰も自分の言うことをきちんと聞いてくれなかった。
ずっと嘘つきのように扱われた。
夫はちゃんと自分の言う真実を聞いて欲しいそれだけですと言った。

判決が出るまで待合室で待つようにと言われた。
どのくらい待つのだろうと思っていたら
割と早く呼ばれまた裁判室に戻った。
私たちの机の上に一枚の紙が乗っていた。
裁判員が夫の名前を読み上げ
「あなたは勝訴しました」と言った。
私は夫の言葉を待っていたのだが黙っている。
あれと思い隣にいる夫を見ると目頭を押さえていた。
いろんな事が夫の頭の中を巡ったのだろう。
まったく理不尽な報告をされて怒りをぶつけようにも
相手は政府の息のかかった団体。
その姿を見て私もちょっと目頭が熱くなった。
夫はやっとのことでありがとうございましたと
礼を言って部屋を出た。

結果としては支払いを止められた1月から4月までの
傷病手当が支給されるだけでたいした金額ではない。
政府が規則を変えたので今までずっともらえていた人も
この4月からは1年傷病手当をもらったものは打ち切りになった。
どんなに重い障害を持っていてもだ。

でも私たちには、特に夫にとっては
この裁判に勝ったことはとても大きなことなのだ。


スポンサーサイト

kemmiさん、ここで終わるなんて…。
ご主人は大丈夫だったのでせうか?
気になって眠れません。

2012.07.14 21:50 katomi #- URL[EDIT]

良かったですね。
当然の勝訴で「感謝」しなければいけないのって
なんだか腑に落ちません。

確かにイギリスは見直すべきところが多くありますが
違うところに力を入れて、なすべきところが放置な気がしてなりません。

私はこの勝訴を喜んでいられるのもつかの間の気がして心配です。
いつ手のひらを返して同じ事をされるかわかりませんからね・・・。

でもひとまずおめでとうございます。そしてご主人様、今日はぐっすり眠れますように♪

2012.07.14 23:12 ニコ #- URL[EDIT]
katomiさま

MOREという青い部分をクリックすると続きが読めるようにしたのですが
わかりにくいようなので全部読めるようにしました。
今日は寝れるかな?

2012.07.15 06:26 kemmi #- URL[EDIT]
ニコさま

今の政府は銀行家や金持ちにより利益を
弱者は切り捨てるという政策ですから
まったく信用できませんね。

夫は膝を怪我してからずっと嫌な思いをしていたので
勝てて本当に良かったです。
ありがとうございます。

2012.07.15 06:55 kemmi #- URL[EDIT]

kemmiさま
言葉もありません。
こんなふざけたブラックジョークみたいなことが現実に行われているのですね。
おそろしい.......。
でも、ひとまず、おめでとうございます、ですね。
あたりまえのことが、なんと遠いこと....。
ご主人に本当におつかれさまです、少しでもはやくよくなりますように...とお伝えくださいね。
kemmiさんもご苦労様でした。

2012.07.15 17:04 TSU #eYj5zAx6 URL[EDIT]

kemmiさん、ありがとうございます。
全部読みました。
泣きました。
良かったですね。ご主人にもよろしくお伝えください。

2012.07.15 20:07 katomi #- URL[EDIT]
TSUさま

イギリスの政党は2つに分けられます。
労働党と保守党です。
ずっと労働党が政権を握っていてのですが
一昨年保守党に変わりました。
夫は保守党が政権を握ることを快く思っていませんでした。
保守党は弱者を切り捨てるからです。
やはり夫の危惧していた通り、いやそれ以上にひどいですね。
とにかくイギリスにいるといろんな事を経験されられますね。
心温まる言葉をありがとう。

2012.07.16 00:05 kemmi #- URL[EDIT]
katomiさま

今度は読めましたね。
ご心配と温かい言葉ありがとう。
夫もありがとうと言ってます。

色々とあって経験も豊富になってきました。(笑)

2012.07.16 00:08 kemmi #- URL[EDIT]

ご主人の勝訴、おめでとうございます。当然の勝利ですよね。そもそも、裁判を起こさなければならない状況になる事自体がまったくもっておかしい。でも、これまでの経緯を思うと、この勝利はとてつもなく大きなものですよね。

ご主人の膝に関しては、痛みを訴え始めた時から本当に理不尽なことばかりでしたもの。これを機に、これ以上ご主人やKemmiさんが納得出来ない様な理由やシステムの不備によって大変な思いをすることがなくなりますように。

2012.07.16 06:24 おゆり #mQop/nM. URL[EDIT]

おめでとうございます。
イギリスでしょう??? と思いながら拝読。
政府、システム、食い違い、どんなに悔しかったことでしょう。
でも よかった!頑張って下さい。

2012.07.16 08:46 jun1940 #- URL[EDIT]
おめでとう

おめでとう。
ひとまず、良かったですね。

いろいろ腑に落ちないことばかりだと思いますが
頑張って下さい。

2012.07.16 22:58 bluemoon #jgmM4Qwg URL[EDIT]
おゆりさま

ありがとうございます。
おゆりさんにはイギリス政策の理不尽さがわかっていただけると思いますが
本当に腹が立ちました。
結局4月からは打ち切られるものだったのですが
勝訴はお金以上の価値があります。

2012.07.17 04:04 kemmi #- URL[EDIT]
jun1940さま

住んでみないとわからないことばかりです。
欧米が何もかも日本よりいいとは言えないことばかりです。
応援ありがとうございます。

2012.07.17 04:07 kemmi #- URL[EDIT]
bluemoonさま

ありがとう。
裁判所にははじめて行きました。
守衛の態度が頭にきましたが
勝ててよかったです。

2012.07.17 04:09 kemmi #- URL[EDIT]
辛い日々を耐え・・・

見ると目頭を押さえていた・・・。お辛かった
のでしょうね、旦那さま。理不尽が社会の中を
闊歩し出すと、それが当たり前のごとく見えて
なぜ?どうして?が通らない住み辛い世の中に
なります。そんな中毅然と立ち向かったご主人
とkemmiさん。そして、裁判所の判決が勝訴と
決まりました。経緯を読んで、私も安堵一杯に
なりましたよ。(^^)
今現在、不安定が増大する欧州諸国。これ以上
の混乱が無くなることを祈っています。

2012.07.17 11:04 北の旅烏 #- URL[EDIT]
北の旅烏さま

私も悔しい思いをしていましたが
夫の姿を見て普段は強がっていても
相当苦しんでいたのだなと思いました。
膝の治療はまだまだ進まず
手放しで喜べる状態ではないですが
勝てたことでプライドを守ることができ
次に進めそうです。
ご心配ありがとうございます。

2012.07.17 18:57 kemmi #- URL[EDIT]

ご主人本当によかったですね。私も自分がまっとうにやってきたこと、言いたいことが伝わらない、伝えても全く無駄という大きな組織からの理不尽さを経験しています。お金じゃないんですよね、自分の尊厳が深く関わっています。
前の政権がよかったとは言えませんが、今の政権は本当にひどいですね。社会的弱者はおろか、庶民のことはまったくわからない人たちなのでしょう。それどころか、金持ちで税金逃れをしている人たちをほっておいて、ベネフィットをもらっている人たちをやたら攻撃しているのは、前者の目をそらすためだと言われていますよね。今のイギリスは強者はますます強く、弱者はますます弱い立場におかれるという状況でニュースを見ると腹の立つことばかりです。

2012.07.21 03:36 ぽん #.I57DTE6 URL[EDIT]
ぽんさま

勝てたと言っても4月からはどの人も止められてしまう手当てなのですが
それでも勝ったという結果は私たちには大きいものでした。
それにしても今の政権になってから頭にくることや
信じられないことばかりですね。

ぽんさまも色々と経験なさっているのですね。

2012.07.22 02:59 kemmi #- URL[EDIT]

管理者にだけ表示を許可する