続イギリスで始めたこと

2001年からイギリスに住んでいます。 人生何があるかわかりません。思いもしなかった異国暮らし。 日々の生活の中で思うこと、発見したこと、出来事などを書いています。

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11ヶ月ぶり

11ヶ月ぶりに会った母は10キロ以上も痩せていて
お世話になっている老人保健施設のベッドに腰掛け
目をつぶり嫌々をするように頭を左右に振っていた。
短い髪が好きな母の髪は伸びてボサボサになって
服は食べこぼしのシミがついていて変わり果てた母の姿に
すぐに言葉が出なかった。
母さんと声をかけると一度目を開け来てくれたのと言ったが
すぐに首振りを始めカチカチと歯を鳴らしていた。
30分ほどいたがまた明日来るねと施設を後にした。

ショックだった。

母が施設に入所した11月末までは毎日のように電話で話していた。
落ち込み気味ではあったが会話はできていた。
しかし12月末に母を訪ねてくれた友達から
母の様子が普通ではないから精神科を受診したほうがいいと勧められた。
受診の結果母の脳の萎縮が見られ認知症を発症していると告げられた。
精神安定剤を処方されたがそれ以上の治療はなかった。
老人保健施設では受けられる治療に制限があると聞いた。

母は幻想、幻聴があり時折電話してくる母の話は支離滅裂だった。
それでも私をまだ娘とわかっていて電話をくれた。
母は妖怪の存在に悩ませられていた。

私は母を施設に入れてしまったショックからなかなか抜けられず
すぐに母の元に駆けつけることができなかった。
何とか気持ちを奮い起こして日本行きの手配をした。
それでも正直言うと母に会って現実を受け入れるのが怖かった。

今回3週間しか取れなかった休暇だが
その間に何とか母を信頼できる医師に診てもらい
認知症の治療を受けさせたいと思っていた。
どこまでできるのかわからなかった。

イギリスにいる間に友達が良い医師がいると予約をしてくれていた。
その日は私の滞在中の真ん中くらいだった。
母も違う医師に見てもらうことをわかってくれた。
その医師は母の話をちゃんと聞いてくれた。

医師は母に
見えるはずのないもの見えたり聞こえるはずのないものが聞こえるのは
辛いですね。でもそれは脳の病気ですよ。今はいい薬があって
お母さんの不安を取り除くこともできますから一緒に治療しましょう。
と言ってくれた。
母は今までちゃんと母の話を聞いてくれる医師がいなかったので
初めてちゃんと話を聞いてもらえてほっとした表情を見せた。
医師は私があと10日ほどしか日本にいられない事情も汲んでくれて
私たちを診察室に残したまま彼が勤務する病院に電話を入れて
母がすぐに入院可能か確認してくれた。
近日中の入院は可能なので次回の帰国まで3ヶ月くらい入院して
じっくり治療に専念したらどうかと提案された。
願っても無いことでお願いしますと即答した。

母が入院したのは私の帰国5日前だった。
私は4日しか母に付き添えなかった。
それでも老人保健施設には母を残して帰りたくなかったので
適切な治療を受けられる病院に母を置いてこれたのは
本当に良かったと思っている。

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何と書いたらいいものか、しばらく手が止まっています。
kemmiさんのコメントを読まさせてもらい、お母さまの認知症が進んでいることへの
不安と焦燥感が伝わってきて、やるせない気持で一杯です。
会いたくてもすぐには出来ずの焦りや、何とかしなければ...との責任感など。
kemmiさんの行動は、私には遠く及ばない家族の鏡に思えます。
今回、新しいお医者さんに診てもらえてよかったですね。
進行が少しでもおくれることを願ってやみません。
老は誰しもが受け入れなければならない事と分かっていても
いざその場に出くわすと、狼狽えるばかり。
現実をしっかりと受け止めなければいけませんね・・・。

2015.06.02 07:52 北の旅烏 #- URL[EDIT]
北の旅烏さま

私には現実を受け入れる作業が一番大変だったと思います。
とは言えちゃんと受け入れられているわけではありません。
3週間という限られた中やれることをやるしかありませんでした。
でも友達の助け無しには何もできませんでした。
友達がいてくれることに感謝し切れません。

2015.06.02 22:01 kemmi #- URL[EDIT]
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2015.06.03 06:44 # [EDIT]

今まで当たり前だったものがそうではなくなる・・・それが親だったりすると現実を受け止めるのはなかなかできないですよね。
自分に言い聞かせて納得することなんて到底できないと思います。受け入れる日が来るかもしれませんが、そうしなければいけないなんて思わず、そうなる日が来るのを待つしかありませんね。
いいお医者さんに恵まれて少しでも回復されることを願ってます。

2015.06.03 21:50 よっちゃん #9LWohbGE URL[EDIT]
ぽんさま

大変でしたね。ご冥福をお祈りいたします。
私たちの年頃は親御さんの問題を抱えている人が少なくないですね。
老いてゆく親は最後のレッスンをくれているのかなと思っています。
ご主人の力になってあげてくださいね。
ご両親も受けられるサービスが色々とあると思います。
お互い元気で頑張るしかないですね。

2015.06.04 02:00 kemmi #- URL[EDIT]
よっちゃん

私も現実を受け入れるのが難しいと思いました。
1年前の母は元気でいたのでそのギャップが余計現実を受け入れがたくします。
でも一番苦しんでいるのは母なので何とかその苦しみから解放してやりたい。
母との再会はショックでしたがそのショックで母の変化を
受け入れやすくなったような気がします。
娘として頑張ります。ありがとうございます。

2015.06.04 02:14 kemmi #- URL[EDIT]

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